27日の夜、2006年度第1回の理事会が行われ、無事終了することができました。(理事の方、お疲れ様でした)
NPO法人を立ち上げようと決めて、全国各地の会員の方にそのお話をして歩いたのは、3年前のこと。私がフィリピンでのインターンシップから帰国した直後のことでした。
1年かけて全国の会員の方々にご理解いただきながら、同時に事務局メンバーの中では、法人のミッション(使命)は何か、私たちは何を目指すのかなど、喧々諤々の議論をしつつ法人設立の準備をしていきました。
NPO法人の申請を行ったのは2003年の暮れのこと。2004年の4月に認証され、NPO法人として、アサーティブジャパンは新しく出発することができました。
それから丸2年がたち、初年度赤字経営だったアサーティブジャパンも、2年度目には黒字に転じ、今年は“利益をどのように社会還元することが私たちのミッションに合致しているのか”という議論になりました。アサーティブネスのニーズがありながら、なかなか手が届かない層はどこなのか、どうすれば私たちが一番伝えたい層にこのメッセージを届けることができるのか。
基金を作ってはどうだろう、託児所をつけるようにしたい、DVのシェルターの女性たちの学びの場を提供しては、などなど、日々の組織経営以外の夢を少しだけ語る時間を持てました。
組織運営の業務や講師の仕事をしていると、日々の仕事をこなすだけで一日はあっという間に過ぎていってしまいます。組織のミッションは自分自身のミッションでもありますから、私はなぜアサーティブネスを伝え続けているのか、どんな人たちに届けたいのか、心して覚えていないとすぐに忘れてしまいそうになります。
だからこそ、もう一度ミッションを。私たちが本当に伝えたいことを忘れないで、一人ひとりが対等な関係を作ることのできるお手伝いをしたい。――そんなことを、来週末の総会で話し合うことができたらなあと、今ほんの少し楽しみにしています。
みなさんよいゴールデンウィークをお過ごしください。
もう一度ミッションを
本当に自分を大切にすること
ここのところ、講演会や講座でお話をするときに、アサーティブネスの四つの柱で「自己責任」という言葉を説明した後に問いかけられる質問があります。
それは、暴力などの被害になっている方からのご質問です。
「夫の家庭内暴力で、夫に何も言えなかったし、別れた今も何も言えない。夫にアサーティブになるにはどうすればいいのでしょうか」
「言葉の通じないパートナーに対してアサーティブに何かを伝えるのは、最難関の課題です。すぐにチャレンジする必要はありません。こうした難しい状況の中でアサーティブであるということは、自分が傷つかないために『立ち去る』ことを選ぶ権利であったり、自分を愛することを最優先することの権利であったりします。
必ずしも“伝える”ことがアサーティブな態度であるとは限りませんから、別れることを選択したあなたは十分にアサーティブであったと思いますよ」
また、直接的に暴力の被害にあったという方からは、こんな質問もあります。
「アサーティブネスのお話の中で“自己責任”という言葉があり、自分が言わなかった責任を取るということがありましたが、親から暴力を受けた場合も自己責任はあるのでしょうか」
「いいえ、その場合にあなたの責任は全くありません。
暴力を受けた子どもの側である、あなたは一ミリも悪くないし、親の暴力の責任はあなたには全くありません。
子どもに暴力を振るった側が完全に間違っていました。
あなたは間違っていなかったし、絶対にあたなのせいではありません」
暴力や虐待に苦しむ方のなんと多いことでしょう。
アサーティブネスが単なる“伝え方の技術”ではないということ、自分を本当に大切にすること、自己信頼をしっかりと築くこと、そして自分に対する敬意を忘れないで生きていくことの大切さを、きちんと伝えていきたいと思います。
それは、暴力などの被害になっている方からのご質問です。
「夫の家庭内暴力で、夫に何も言えなかったし、別れた今も何も言えない。夫にアサーティブになるにはどうすればいいのでしょうか」
「言葉の通じないパートナーに対してアサーティブに何かを伝えるのは、最難関の課題です。すぐにチャレンジする必要はありません。こうした難しい状況の中でアサーティブであるということは、自分が傷つかないために『立ち去る』ことを選ぶ権利であったり、自分を愛することを最優先することの権利であったりします。
必ずしも“伝える”ことがアサーティブな態度であるとは限りませんから、別れることを選択したあなたは十分にアサーティブであったと思いますよ」
また、直接的に暴力の被害にあったという方からは、こんな質問もあります。
「アサーティブネスのお話の中で“自己責任”という言葉があり、自分が言わなかった責任を取るということがありましたが、親から暴力を受けた場合も自己責任はあるのでしょうか」
「いいえ、その場合にあなたの責任は全くありません。
暴力を受けた子どもの側である、あなたは一ミリも悪くないし、親の暴力の責任はあなたには全くありません。
子どもに暴力を振るった側が完全に間違っていました。
あなたは間違っていなかったし、絶対にあたなのせいではありません」
暴力や虐待に苦しむ方のなんと多いことでしょう。
アサーティブネスが単なる“伝え方の技術”ではないということ、自分を本当に大切にすること、自己信頼をしっかりと築くこと、そして自分に対する敬意を忘れないで生きていくことの大切さを、きちんと伝えていきたいと思います。
自分の意思を伝える
出身地の岡山で、「金融」をテーマとした大学での講義の一環としての「コミュニケーションの重要性」についてのお話をすることがありました。金融知識を学ぶことも大事ですが、その前に自分の意思をしっかりと持っておくことが大事だという主催者の方のお考えからでした。
事前に色々と打ち合わせをさせていただいた際に、ボーイフレンドが車を買いたいので保証人になってほしいという依頼に、彼女が「ノー」と言えず引き受けてしまう例についての話がありました。その事例を使って、銀行勤務のおふた方にお願いし、実際に起こりうる事例を学生さんたちの前で行ってみることにしました。
車を買いたいA君と、その彼女Bちゃんのやり取りです。
「車を買おうと思っているんだけれど、親に頼むのも格好悪いから、Bちゃんに保証人になってほしいと思ってるんだ」
「でも、保証人ってあなたが返せなかった場合の責任者でしょ。返せなかったらどうするの」
「僕が返さないわけないだろ。それにローン組んだら月々2万円ちょっとだから、大丈夫、信用してよ」
「信用してるけど・・・」
“あなたが返す、返さない”という議論の立て方であれば、彼女は簡単に説得されてしまいます。
実際に担当者にアドリブでやっていただいたら、Bちゃん役の女性は本当に断れなくなってしまいました。ポイントは、「あなたがどうだ」という議論ではなく、「自分はこう感じている」ということを率直に述べることです。自分の理由を相手に求めると、相手はいくらでも理由を作って説得することができるからです。
ということで、Bちゃんにアサーティブな言い方をご説明して、今度は自分の気持ちを中心に話してもらうことにしました。
「昨日の保証人のことだけど」、と、Bちゃんは話し始めました。
「何かあるの」
「うん。色々と考えたんだけど、やっぱりやめておく」
「ええっ、僕のこと信用してくれないの」
「あなたのことは信用しているわ。でも、私が保証人になるのがいやなの。A君のことは好きだし、二人のことは大切にしたいけど、保証人になるのはどうしてもいやなのよ。」
「そっか・・・」
「それ以外のことで相談にはのるし、力になりたいと思っている。でも、今回の保証人を引き受ける件に関しては、パスさせてほしいの」
「そうか。わかったよ」
相手の行動ではなく、自分の気持ちや意思を率直に述べること。知識を持つのは重要ですが、それをどのように使うか、何を大事にしながら行動するかは、一人ひとりがしっかり考えることからしか始まりません。そんなメッセージをこめてお話を終えましたが、学生さんたちに届いたでしょうか。
事前に色々と打ち合わせをさせていただいた際に、ボーイフレンドが車を買いたいので保証人になってほしいという依頼に、彼女が「ノー」と言えず引き受けてしまう例についての話がありました。その事例を使って、銀行勤務のおふた方にお願いし、実際に起こりうる事例を学生さんたちの前で行ってみることにしました。
車を買いたいA君と、その彼女Bちゃんのやり取りです。
「車を買おうと思っているんだけれど、親に頼むのも格好悪いから、Bちゃんに保証人になってほしいと思ってるんだ」
「でも、保証人ってあなたが返せなかった場合の責任者でしょ。返せなかったらどうするの」
「僕が返さないわけないだろ。それにローン組んだら月々2万円ちょっとだから、大丈夫、信用してよ」
「信用してるけど・・・」
“あなたが返す、返さない”という議論の立て方であれば、彼女は簡単に説得されてしまいます。
実際に担当者にアドリブでやっていただいたら、Bちゃん役の女性は本当に断れなくなってしまいました。ポイントは、「あなたがどうだ」という議論ではなく、「自分はこう感じている」ということを率直に述べることです。自分の理由を相手に求めると、相手はいくらでも理由を作って説得することができるからです。
ということで、Bちゃんにアサーティブな言い方をご説明して、今度は自分の気持ちを中心に話してもらうことにしました。
「昨日の保証人のことだけど」、と、Bちゃんは話し始めました。
「何かあるの」
「うん。色々と考えたんだけど、やっぱりやめておく」
「ええっ、僕のこと信用してくれないの」
「あなたのことは信用しているわ。でも、私が保証人になるのがいやなの。A君のことは好きだし、二人のことは大切にしたいけど、保証人になるのはどうしてもいやなのよ。」
「そっか・・・」
「それ以外のことで相談にはのるし、力になりたいと思っている。でも、今回の保証人を引き受ける件に関しては、パスさせてほしいの」
「そうか。わかったよ」
相手の行動ではなく、自分の気持ちや意思を率直に述べること。知識を持つのは重要ですが、それをどのように使うか、何を大事にしながら行動するかは、一人ひとりがしっかり考えることからしか始まりません。そんなメッセージをこめてお話を終えましたが、学生さんたちに届いたでしょうか。
異文化体験から学んだ
4月の半ばに入って、急に忙しくなってきました。先週は高松市から福岡市へ。今週から来週にかけては、水上や岡山から今度は愛知の四日市へ。
しかしながら今月末には理事会が、そして5月はじめには法人アサーティブジャパンの総会が待っているために、事務局では昨年度の事業報告や決算やら予算書作りに追われており、講師の仕事の合間に、「ええっと、昨年度の決算については、云々」と考える日々です。
そんな中で、ちょっぴり自分自身のこれまでの歩みを振り返る時間をいただきました。
最近、とみに、「ビジネス関連」での取材が多く、ともすれば、「こういう場合にはどうしたらいいかのお知恵をいただきたい」という取材申し込みが絶えません。若手スタッフや管理者にとって、“コミュニケーション”や人間関係は尽きることのないテーマだからでしょうか。
先日のその取材では、私自身の“グローバル体験”について尋ねられました。女性とかビジネスということではなく、いわゆる異文化から学んだコミュニケーションについてです。
話すことはたくさんありました。というのも、アサーティブネスに出会った最初のきっかけは、私が生まれて初めてデンマークに滞在した21歳のときのことだったからです。初めての異文化体験、その後、ヨーロッパを一人旅していたときに、アン・ディクソンの『A Woman in Your Own Right』に出会ったこと。
その後再度滞在したイギリスでの、ソーシャルワーカーとしての仕事の体験から学んだこと。アメリカのフリースクールでの半年間のインターン体験。それからずいぶんたった2002年から1年間、今度はフィリピンに滞在したこと。
全部あわせれば、海外滞在期間は5年を越えると思います。ヨーロッパや北米、そしてアジアでの暮らしの中から学んだコミュニケーションというものが、実は私自身のアサーティブなコミュニケーションの土台になっているなあということを、取材中に再度しみじみ感じることができました。
おしゃべりのあまり好きでない私が、久しぶりに1時間以上もおしゃべりしてしまいましたが、取材の後はなんだかすがすがしい気持ちになりました。
私自身にとっての、アサーティブネスの原点に立ち戻れた時間でした。
しかしながら今月末には理事会が、そして5月はじめには法人アサーティブジャパンの総会が待っているために、事務局では昨年度の事業報告や決算やら予算書作りに追われており、講師の仕事の合間に、「ええっと、昨年度の決算については、云々」と考える日々です。
そんな中で、ちょっぴり自分自身のこれまでの歩みを振り返る時間をいただきました。
最近、とみに、「ビジネス関連」での取材が多く、ともすれば、「こういう場合にはどうしたらいいかのお知恵をいただきたい」という取材申し込みが絶えません。若手スタッフや管理者にとって、“コミュニケーション”や人間関係は尽きることのないテーマだからでしょうか。
先日のその取材では、私自身の“グローバル体験”について尋ねられました。女性とかビジネスということではなく、いわゆる異文化から学んだコミュニケーションについてです。
話すことはたくさんありました。というのも、アサーティブネスに出会った最初のきっかけは、私が生まれて初めてデンマークに滞在した21歳のときのことだったからです。初めての異文化体験、その後、ヨーロッパを一人旅していたときに、アン・ディクソンの『A Woman in Your Own Right』に出会ったこと。
その後再度滞在したイギリスでの、ソーシャルワーカーとしての仕事の体験から学んだこと。アメリカのフリースクールでの半年間のインターン体験。それからずいぶんたった2002年から1年間、今度はフィリピンに滞在したこと。
全部あわせれば、海外滞在期間は5年を越えると思います。ヨーロッパや北米、そしてアジアでの暮らしの中から学んだコミュニケーションというものが、実は私自身のアサーティブなコミュニケーションの土台になっているなあということを、取材中に再度しみじみ感じることができました。
おしゃべりのあまり好きでない私が、久しぶりに1時間以上もおしゃべりしてしまいましたが、取材の後はなんだかすがすがしい気持ちになりました。
私自身にとっての、アサーティブネスの原点に立ち戻れた時間でした。
”信頼感”はどこから
7日には香川県高松市で、香川医科大病院の新人看護師と研修医のための研修を担当してきました。新人として最初の1週間の研修で、来週の月曜日からは白衣を着て仕事を始めるという人たちです。
みな、グレーや黒のリクルートスーツを身にまとい、なんだかまぶしいような感じがします。3月末に卒業したばかりでまだ学生顔もたくさん見受けられ、この人たちが数ヵ月後にはしっかりとがんばる新入看護師になるのだと思うと、なんだか感慨深くなりました。
ちょうど1月ほど前、家族が手術で数日間入院した体験をしたので、そのことを担当の看護副部長にお話しました。私にとっては、ドクターが本当に信頼できるということが、手術を乗り切る大きな支えになったということ。そして看護師たちも対応がとてもよくて、気持ちよく退院できたことをお話しました。
「ドクターが“信頼できる”ってどういうことなんでしょうね」
ふいに、Mさんが尋ねました。
「そうですね」
そう答えたまま、私もちょっと考え込みました。
確かに“信頼できる”ということはとても抽象的で、言葉で定義することがなかなか難しいものです。
きちんと向き合ってくれる姿勢。
目を合わせて話してくれること。
そしてそこからにじみ出る誠実さと対等さと謙虚さ。
そんなものでしょうか。
コミュニケーションの何が相手に伝わるのかというデータでは、態度・表情が55%、声の調子が38%、そして話の内容が7%という数字があります。そうしたことにも気をつけて、アサーティブに自己表現することをお話していますが、上記のドクターの例で見ても、要するに、彼が「何を」話しているかというよりも(もちろん、客観的な情報は大変役に立ちましたが)、「どう」伝えているか、不安を抱えた患者とその家族ときちんと向き合おうとしてくださるか、こちらの不安を受け止めてくれるか、ということが、一番“信頼感”をはぐくむのだなあと、私自身が感じたことをお話しました。
研修が終わる頃には、みな明るい顔になって、元気に帰っていきました。彼女、彼らの背中を見ながら、「みんな、いいドクターと、看護師になってね!」と、心の中で精一杯のエールを送ってきた一日でした。
みな、グレーや黒のリクルートスーツを身にまとい、なんだかまぶしいような感じがします。3月末に卒業したばかりでまだ学生顔もたくさん見受けられ、この人たちが数ヵ月後にはしっかりとがんばる新入看護師になるのだと思うと、なんだか感慨深くなりました。
ちょうど1月ほど前、家族が手術で数日間入院した体験をしたので、そのことを担当の看護副部長にお話しました。私にとっては、ドクターが本当に信頼できるということが、手術を乗り切る大きな支えになったということ。そして看護師たちも対応がとてもよくて、気持ちよく退院できたことをお話しました。
「ドクターが“信頼できる”ってどういうことなんでしょうね」
ふいに、Mさんが尋ねました。
「そうですね」
そう答えたまま、私もちょっと考え込みました。
確かに“信頼できる”ということはとても抽象的で、言葉で定義することがなかなか難しいものです。
きちんと向き合ってくれる姿勢。
目を合わせて話してくれること。
そしてそこからにじみ出る誠実さと対等さと謙虚さ。
そんなものでしょうか。
コミュニケーションの何が相手に伝わるのかというデータでは、態度・表情が55%、声の調子が38%、そして話の内容が7%という数字があります。そうしたことにも気をつけて、アサーティブに自己表現することをお話していますが、上記のドクターの例で見ても、要するに、彼が「何を」話しているかというよりも(もちろん、客観的な情報は大変役に立ちましたが)、「どう」伝えているか、不安を抱えた患者とその家族ときちんと向き合おうとしてくださるか、こちらの不安を受け止めてくれるか、ということが、一番“信頼感”をはぐくむのだなあと、私自身が感じたことをお話しました。
研修が終わる頃には、みな明るい顔になって、元気に帰っていきました。彼女、彼らの背中を見ながら、「みんな、いいドクターと、看護師になってね!」と、心の中で精一杯のエールを送ってきた一日でした。