先日、ある協会での講演を担当させていただいたときのこと。お話のプロの方々が大勢集まってこられたその研修会で、アサーティブなコミュニケーションとは何かということをお話しさせていただく機会がありました。
私の前にお話されたご年配の役員の方が、講師の先生方に、「話すことのスキルもあるけれど、これからは、心が通じ合えることをどのように教えるのか、つまり人間力を育てていくということです」とお話されていました。
そのお話に大変感動すると同時に、アサーティブネスが目指していることと同じことなのだなあと確信することができました。
アサーティブネスとは、自分の気持ちや要求を率直に伝えることのできるコミュニケーションスキルであると同時に、自分と相手との人間関係力=信頼関係を育む力でもあるからです。
ここで言う人間関係力とは、コミュニケーションをとりながら人間関係を作っていく力のことです。
以前も、当団体の理事の一人が、アサーティブネスとは平和に向かう一人ひとりの運動であると表現したことがありました。暴力でも戦争でもなく、対話を通じて問題解決をしていこうという、私たちの心構えであり、その具体的方法であるのだと。
その意味でアサーティブネスとは人権尊重の思想です。たとえ立場が違ってもお互いの人間としての尊厳を大切にしたうえで、対話をしようという考え方なのです。
世の中で、「○○すれば、うまくいく」「こんな風に言えば相手はウンと言う」などの、“すぐできる”スキルが氾濫している今、時間はかかっても“話し方の中の人間力”というアプローチについて話をしてくださった協会の役員の方に、私は深く頭を下げておりました。
粘り強く、人間としての尊厳を忘れないで、お互いに対等な関係を作っていこうと努力し続けること。時間はかかっても、とっても大切なことではないかと思うのです。