AJ代表日記

AJ代表 森田汐生のつぶやきを記します

援助職こそアサーティブネスを

パネルディスカションの時間に、私がお話したのは、「援助職としてこそ、アサーティブネスが必要である」ということでした。

クライエントさんやかかわっている人たちがアサーティブになるお手伝いをすることは、援助職にとっての重要な課題です。私自身も最初はそこに立っておりました。

しかし、私は次の2つの意味で、アサーティブネスが援助職にとってこそ重要だと思っています。

一つは、援助職として境界線(バウンダリー)を引くことができる力としてのアサーティブネスです。つまり、自分のできること(イエス)と自分ができないこと(ノー)を認識し、それをきちんと言語化できる能力のことです。

私自身がソーシャルワーカーとして働いてきた現場で、最も強調して教えられたのがこのことでした。相手の問題を解決しようとがんばればがんばるほど、実は相手の境界線に踏み込んでいる事実。あるいは、反対に、自分のできる範囲を超えて引き受けてしまい、燃え尽きてしまう事実。

自分の境界線をきちんと引くためには、アサーティブである必要があると思うのです。

もう一つは、援助者は人権という視点を持って対人援助にかかわる必要があるということです。

アサーティブネスの考え方の根底に、人権擁護の視点があります。アメリカで100万部以上売れた、アサーティブネスの古典と言われる本のタイトルは、『Your Perfect Right』。「あなたの完全な権利」というこの本は、日本語に邦訳されて、『自己主張トレーニング』というタイトルになりました。また、アン・ディクソン氏の著書であり、ヨーロッパのアサーティブネスの原点となった『A Woman in Your Own Right』は、邦訳が『第四の生き方』となりました。日本では「権利」という言葉がタイトルにつくと、売れないということなのでしょうか。

日本では、実は私たちの意識の底に「権利」という言葉が根づいていない。それほどまでに敬遠される「権利」を、援助者自身が身につけ、自分の権利を尊重し、相手の権利を尊重するというスタンスに立つことが、実は援助することの最も根本的な営みだと思うのです。

そうした視点でアサーティブネスを考えると、「どう言うか」というコミュニケーションのハウツー以前の、根本的な人間尊重の思想が見えてくると思います。