去る2月20日のこと。私たちの団体の大切なトレーナーの会員の仲間が、5年半に渡る闘病生活の末に亡くなりました。
享年39歳でした。
今年の1月頃まで元気な声を聞いていたので、訃報を聞いたときはショックのあまりに頭が真っ白になりました。それからも何度かAさんのことを会員の方々と話すチャンスがありましたが、思い出すと今なお胸がしめつけられるような気がします。
Aさんと出会ったのは、10年くらい前のことでした。福岡の自治労による夏の研修で、アサーティブトレーニングを担当させていただいたとき、目をキラキラさせて皆と話をしている素敵な女性がいることに気づきました。
それが、Aさんでした。
研修が終わった後は、担当者と一緒に居酒屋に行き、そのとき初めてAさんが保健師であると同時に、地域の組合リーダーのまとめ役であることを知ったのです。
それから縁があって何度かお仕事を一緒にし、彼女はアサーティブネストレーナー養成講座に東京まで参加しに来てくれました。そこからアサーティブジャパンの会員としての長いおつき合いが始まりました。
その後、Aさんは治療の合間に子どもを産み、治療をしながら子育てを張り切ってやっていらっしゃったようでした。
彼女の写真を見ると今も涙が出そうになります。明るくて、面白くて、ひょうひょうとしていて、でも物事をいつも真剣に見つめていたAさん。人と人とをつないで結んで、ネットワークを作るのが上手でした。
私の身近な人間関係でも、がんを患っている人が何人かいます。手術しても、本当の闘いはそこから始まるのですよね。再発の恐怖と闘いながら、毎日を懸命に生きることをそばで一緒にやっていくことしか、今の私はできませんけれども。
Aさんのことがあってから、一日一日を大切に生きようと更に強く思うようになりました。今日一日を、本当に大切に生きること。悔いのないように過ごすこと。生きててよかったと思える一日にすること。
そんなことを、Aさんは教えてくれました。本当に、ありがとう。Aさん。
Aさんのご冥福を、心からお祈りしたいと思います。
Aさん、ありがとう
「空気が読める」とは
先日、ある大学で3年生を対象とした、アサーティブトレーニング集中授業を担当しました。この学生たちは、1年生のときにも2日間のアサーティブトレーニングを行い、この冬に会ったのは2年ぶりのことでした。
18歳から20歳へ。2年という年月は、この年齢の若い人たちをぐっと大人に近づけるのですね。彼らの変化の大きさに、私たち講師もちょっとびっくり。「大人になったねえ」と、しみじみ感動しておりました。
さて、集中講義の3日目に、私の古くからの友人であり障害を持つ人たちの解放運動を担ってきた、安積遊歩さんにお話をしていただく時間をとりました。

安積さんはご自身の体験を交えながら、多様性を認めることの大切さ、対等であるためには自分の本当の気持ちによく耳を傾ける必要があること、大人になることは我慢することではなくきちんとモノを言っていくことをあきらめないこと、などについて、熱く語ってくれました。
さて、安積さんのお話の中で、こんなくだりがありました。
「KY(空気が読めない)という言葉があるが、相手の気持ちを察したり場の空気を読んだりして対処できることは、一見とても“優しい”人に思えるかもしれない。しかし、周りにあわせるということは、実は自分に優しくないことではないか。そして長い目で見れば、自分に優しくなれないことは、他人にも優しくなれないことだ」と。
アサーティブネスは、自分の誠実な気持ちに気づいた上で、自分の「感じる力」や「考える力」、「行動する力」を大事にするところから始まります。
「KY」という尺度が結構大きな比重を占めているらしい今の大学生たちには、安積さんの言葉がかなり心に響いたようでした。感想を述べてもらう時間でも、自分を本当に大切にすることの意味にはっとした、などの感想がたくさんありました。
場の空気や相手の気持ちを察することも大切ですが、そのために自分が感じていることまでも消し去ってしまうと、それは自分にも相手にも誠実でなくなってしまうということ。
そんな安積さんのメッセージをちゃんと受けとめて、目をキラキラさせながら話してくれる学生たちを見ながら、社会に出た後もしっかりとがんばってほしいと心から願った3日間でした。
18歳から20歳へ。2年という年月は、この年齢の若い人たちをぐっと大人に近づけるのですね。彼らの変化の大きさに、私たち講師もちょっとびっくり。「大人になったねえ」と、しみじみ感動しておりました。
さて、集中講義の3日目に、私の古くからの友人であり障害を持つ人たちの解放運動を担ってきた、安積遊歩さんにお話をしていただく時間をとりました。

安積さんはご自身の体験を交えながら、多様性を認めることの大切さ、対等であるためには自分の本当の気持ちによく耳を傾ける必要があること、大人になることは我慢することではなくきちんとモノを言っていくことをあきらめないこと、などについて、熱く語ってくれました。
さて、安積さんのお話の中で、こんなくだりがありました。
「KY(空気が読めない)という言葉があるが、相手の気持ちを察したり場の空気を読んだりして対処できることは、一見とても“優しい”人に思えるかもしれない。しかし、周りにあわせるということは、実は自分に優しくないことではないか。そして長い目で見れば、自分に優しくなれないことは、他人にも優しくなれないことだ」と。
アサーティブネスは、自分の誠実な気持ちに気づいた上で、自分の「感じる力」や「考える力」、「行動する力」を大事にするところから始まります。
「KY」という尺度が結構大きな比重を占めているらしい今の大学生たちには、安積さんの言葉がかなり心に響いたようでした。感想を述べてもらう時間でも、自分を本当に大切にすることの意味にはっとした、などの感想がたくさんありました。
場の空気や相手の気持ちを察することも大切ですが、そのために自分が感じていることまでも消し去ってしまうと、それは自分にも相手にも誠実でなくなってしまうということ。
そんな安積さんのメッセージをちゃんと受けとめて、目をキラキラさせながら話してくれる学生たちを見ながら、社会に出た後もしっかりとがんばってほしいと心から願った3日間でした。
自分は自分、でいいのだろうか
30代の女性ソーシャルワーカーさんが、最近の悩みについて話をしてくれました。
彼女は30代半ばの“中堅どころ”ですが、一回り以上年下の20代のワーカーさんたちの態度に、少々心を悩ませていました。
「若手のワーカーさんたちは、クライエントさんの話を聞いていたり、訪問したりしていても、定時になったら『時間ですので失礼します』と言って、さっと帰ってしまう。以前の私たちは、仕事上の境界線を引くことが課題だったのに、最近は違うんですね」
自分は自分。時間が来たら相手がどうであれ、自分の権利を行使して定時で帰る。
その意味では自分の自己決定権を行使し、自分の要求を行動に移した、“アサーティブな態度”なのかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか。
「自分は自分、他人は他人」という空気は、一見個人の権利を尊重したようなものであるかのような印象を受けます。しかしながら、その立場で自分の要求をストレートに伝えたらアサーティブであるかというと、私は全くそうとは思いません。
「自分は自分、他人は他人」というのは、自分が傷つかない、他人を傷つけない、スマートなコミュニケーションなのかもしれません。
しかし、アサーティブな話し合いとはスマートなコミュニケーションどころか、相手との価値観の違いに葛藤し、理解しあうことの難しさを痛感しながら、それでも話し始めようという、実は大変“ごつごつした”、“飲み込むのが難しい”コミュニケーションではないかと、私は思っています。
葛藤なしに、傷つくことのないコミュニケーションは、アサーティブな関係を生み出すどころか、「嫌ならつき合わなきゃいいじゃない」的な、機械的な関係しか生み出さないのではないでしょうか。
嫌でもつき合わなければならないことは、たくさんあります。相手に踏み込みすぎて傷つけてしまうことも多々あるでしょう。どんなに言ってもわかってもらえない、もどかしさを感じることもあるでしょう。
それでも、話し合っていくことしか、関係を深めていくことはできません。
そんな「葛藤しつつ対話する力」こそが、アサーティブな態度を支えていくのだと私は思います。
彼女は30代半ばの“中堅どころ”ですが、一回り以上年下の20代のワーカーさんたちの態度に、少々心を悩ませていました。
「若手のワーカーさんたちは、クライエントさんの話を聞いていたり、訪問したりしていても、定時になったら『時間ですので失礼します』と言って、さっと帰ってしまう。以前の私たちは、仕事上の境界線を引くことが課題だったのに、最近は違うんですね」
自分は自分。時間が来たら相手がどうであれ、自分の権利を行使して定時で帰る。
その意味では自分の自己決定権を行使し、自分の要求を行動に移した、“アサーティブな態度”なのかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか。
「自分は自分、他人は他人」という空気は、一見個人の権利を尊重したようなものであるかのような印象を受けます。しかしながら、その立場で自分の要求をストレートに伝えたらアサーティブであるかというと、私は全くそうとは思いません。
「自分は自分、他人は他人」というのは、自分が傷つかない、他人を傷つけない、スマートなコミュニケーションなのかもしれません。
しかし、アサーティブな話し合いとはスマートなコミュニケーションどころか、相手との価値観の違いに葛藤し、理解しあうことの難しさを痛感しながら、それでも話し始めようという、実は大変“ごつごつした”、“飲み込むのが難しい”コミュニケーションではないかと、私は思っています。
葛藤なしに、傷つくことのないコミュニケーションは、アサーティブな関係を生み出すどころか、「嫌ならつき合わなきゃいいじゃない」的な、機械的な関係しか生み出さないのではないでしょうか。
嫌でもつき合わなければならないことは、たくさんあります。相手に踏み込みすぎて傷つけてしまうことも多々あるでしょう。どんなに言ってもわかってもらえない、もどかしさを感じることもあるでしょう。
それでも、話し合っていくことしか、関係を深めていくことはできません。
そんな「葛藤しつつ対話する力」こそが、アサーティブな態度を支えていくのだと私は思います。
暖かい試み
新年、おめでとうございます。
新年早々、事務局ではちょっぴり“暖かい”試みをしました。去年の年末に、あまりにも事務所が寒いので、もう少し温度をあげようと円形のガスストーブを置きました。
ちょっと懐かしい円形のストーブは、上にやかんを置くとシュンシュン湯気を出して加湿してくれます。おかげで加湿器を置かなくてもよくなりました。
そして先日のことですが、各地のトレーナーの方を呼んでミーティングを行いました。北海道や新潟からトレーナー会員の方が参加してくれるということで、せっかくだから「おでん」を作ってはどうだろうかという案が出ました。
「おでん! それはいい」と真っ先にその案に飛びついてしまったのは、わたしです。頭を使って疲れるミーティングも、おでんを囲んだお昼が待っているのであれば、ちょっと楽しめそうです。
ということで、事務局でおでんの具を買いそろえ、当日の朝は大根やらジャガイモやらのしたごしらえをして、コトコト煮ること約3時間。
昼には、おいしいおでんができあがりました。
おでんの大きななべを囲んで、また話が盛り上がります。
それでは、と、午後からスタッフが作ってくれたのは、おぜんざい。小豆を水から煮て、三温糖を入れてできあがりました。ミーティングが終わった夕方に、お餅を焼いておぜんざいを出し、みなでほっかり温まりました。
そんな事務所のちょっとしたイベントが、寒いこの季節を暖めてくれます。
寒い季節ですよね。
どうぞ、みなさまもお体にお気をつけて。
今年もどうぞよろしくお願いします。
新年早々、事務局ではちょっぴり“暖かい”試みをしました。去年の年末に、あまりにも事務所が寒いので、もう少し温度をあげようと円形のガスストーブを置きました。
ちょっと懐かしい円形のストーブは、上にやかんを置くとシュンシュン湯気を出して加湿してくれます。おかげで加湿器を置かなくてもよくなりました。
そして先日のことですが、各地のトレーナーの方を呼んでミーティングを行いました。北海道や新潟からトレーナー会員の方が参加してくれるということで、せっかくだから「おでん」を作ってはどうだろうかという案が出ました。
「おでん! それはいい」と真っ先にその案に飛びついてしまったのは、わたしです。頭を使って疲れるミーティングも、おでんを囲んだお昼が待っているのであれば、ちょっと楽しめそうです。
ということで、事務局でおでんの具を買いそろえ、当日の朝は大根やらジャガイモやらのしたごしらえをして、コトコト煮ること約3時間。
昼には、おいしいおでんができあがりました。
おでんの大きななべを囲んで、また話が盛り上がります。
それでは、と、午後からスタッフが作ってくれたのは、おぜんざい。小豆を水から煮て、三温糖を入れてできあがりました。ミーティングが終わった夕方に、お餅を焼いておぜんざいを出し、みなでほっかり温まりました。
そんな事務所のちょっとしたイベントが、寒いこの季節を暖めてくれます。
寒い季節ですよね。
どうぞ、みなさまもお体にお気をつけて。
今年もどうぞよろしくお願いします。
いい職場はコミュニケーション作りから
あっというまに今年も終わりに近づいてきました。2007年ももうすぐ終わり、新しい年を迎えようとしています。
皆さんにとっては、今年はどんな年だったでしょうか。私は相変わらず全国各地を走り回りながら、法人としてのアサーティブジャパンの人材配置と業務の分担等を、手探りしながら作ってきた1年だったと感じています。
特に今年は、事務局メンバーが交代した年でありました。長年勤務したスタッフが退職したり、新しくスタッフが入ってきたり。
スタッフ交代でよくなったことは、常勤の管理スタッフがそろったことです。これまでは、トレーナーのメンバーで総務も経理もすべてやっていたのですが、今年になってやっと総務専門と講座専門の常勤スタッフを1名ずつ増やすことができました。
おかげさまで、トレーナーのメンバーは講座に集中できるようになり、事務局運営は別途しっかりと管理できるようになりました。法人としての機能を十分果たせるようになってきて、やっと安心できるようになりました。
いい職場はコミュニケーションづくりから。
つくづくそう思います。
風通しのいい職場は、上司であれ部下であれ、それぞれの意見を出し合い、聴きあい、必要であればしっかりと議論をしながら、よりよい解決に向けて一緒に考えられる関係を築けることではないでしょうか。
そんな職場づくりを皆で一緒にやってきた、この一年だったと思います。
今年一年、色々とサポートしてくださった方々、本当にありがとうございました。皆様、よいお年をお迎え下さい。
そして、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆さんにとっては、今年はどんな年だったでしょうか。私は相変わらず全国各地を走り回りながら、法人としてのアサーティブジャパンの人材配置と業務の分担等を、手探りしながら作ってきた1年だったと感じています。
特に今年は、事務局メンバーが交代した年でありました。長年勤務したスタッフが退職したり、新しくスタッフが入ってきたり。
スタッフ交代でよくなったことは、常勤の管理スタッフがそろったことです。これまでは、トレーナーのメンバーで総務も経理もすべてやっていたのですが、今年になってやっと総務専門と講座専門の常勤スタッフを1名ずつ増やすことができました。
おかげさまで、トレーナーのメンバーは講座に集中できるようになり、事務局運営は別途しっかりと管理できるようになりました。法人としての機能を十分果たせるようになってきて、やっと安心できるようになりました。
いい職場はコミュニケーションづくりから。
つくづくそう思います。
風通しのいい職場は、上司であれ部下であれ、それぞれの意見を出し合い、聴きあい、必要であればしっかりと議論をしながら、よりよい解決に向けて一緒に考えられる関係を築けることではないでしょうか。
そんな職場づくりを皆で一緒にやってきた、この一年だったと思います。
今年一年、色々とサポートしてくださった方々、本当にありがとうございました。皆様、よいお年をお迎え下さい。
そして、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。